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訪問看護ステーションととのえ

虫の生活




 畑で野菜を作ることが趣味なので、1年を通して何かしら畑に作物があります。春から夏はほぼ毎日畑に出ています。秋から冬は週に2~3回、手入れや収穫のために畑に行きます。農薬などは使わずに、作物用虫避けのお酢を使うだけなので、私の畑では虫が作物を「食べ放題」に近い状態で食しています。虫の食べ残しを、私が食べているような感じ・・・。虫が苦手なハーブや花を作物と一緒に植えたり、お酢を使ったりしていますが、どちらも駆虫が目的ではないので、それなりに虫がついてしまいます。毎日手塩にかけて世話をしている作物が、着々と虫に食べられていくのを見ると、悔しくなってきます。でも、この小さい生き物の、本能のまま生きる短い時間を思うと、やはり駆虫という考えには至りませんでした。

 そのうち、畑で毎日出会う様々な虫を見ることが楽しくなり始め、可愛いと思う気持ちも芽生えてきました。一生懸命に青菜を食べて大きくなっている芋虫・カナブン・カメムシ、土の中で根っこと茎を切り離すネキリムシ(最も悔しい)、受粉に一役かっているチョウチョやハチ、そんな虫を頂こうと巣を張って待ち構えるジョロウグモ。バッタやカマキリも常連さんです。

 収穫した野菜に着いたまま冷蔵庫に入ってしまった虫が、生きていると嬉しくなり、すぐ畑に戻します。家の中に入ってしまった虫も、生きたまま外に出すようにします。でも外の世界も危険が多く、虫は鳥やヘビやカエルに狙われています。耕運機をかけている後ろで、地上に出てきた虫をカラスが食べている姿を見ると、厳しい世界だなと思います。

 作物を売って生活をする場合は十分な対策が必要ですが、素人が趣味で作る野菜や果物なので、虫とシェアする感じです。作物を食べられてしまうことは、少し残念ではありますが、虫がいることで畑の土が柔らかくなったり土の養分が増えたりします。生きる厳しさや、命の時間についても教えてくれます。こう考えると色々な恩恵を受けているので、虫に感謝しながら、これからも畑を楽しもうと思います。



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