
今日のおやつは鯛焼きを食べました。涼しくなり始めて、鯛焼きが食べたいと思うようになりました。カスタードやチョコクリームなどもありますが、年齢を重ねてくると、やっぱりあんこの鯛焼きが落ち着きます。
私が子供のころ、秋の声が聞こえると、高齢のご夫婦が決まった場所に、小さな屋台を出して鯛焼きだけを売っていました。小中学校の帰り道にありましたが、学校帰りは買い食いは禁止でした。学校で散々運動した後に、良い香りだけ嗅いで帰るので、食べたくて仕方ありません。家に戻ると、鯛焼きを買って欲しいと親に頼む事がありました。通学路をまた親と一緒に戻り、その物静かなご夫婦の鯛焼きを3個買って帰りました。ホカホカであんこが尻尾まで入っていて、皮はふわっと厚めで、とても美味しい鯛焼きでした。
冬も終わりを告げる頃、知らないうちにその屋台は無くなり、また秋になるとそこに屋台がやってきます。毎年少しずつ年齢を重ねる、その高齢のご夫婦の屋台は、ある秋から姿を見せなくなりました。きっとどちらかの体調が悪くなったのだろう・・・と思いました。毎年、小さな頃から親と買いに来て、「あったかくて美味しいね」と話しながら食べていた鯛焼き。もう屋台を見なくなってから随分長い年月が経っていますが、今でもお二人が並んで鯛焼きを作って売る姿を、鮮明に思い出す事が出来ます。あのご夫婦の、連れ添った時間が作り出す空気感と人柄を感じさせる佇まいは、屋台の中の狭い空間に温かい雰囲気を作り出していました。
あったものが無くなっていく、会っていた人がいなくなっていく、その繰り返しが人生の常ではありますが、寂しさを感じてしまいます。そんな人とも、明日また会える保証などありません。今を大切に、今を慈しんでいきたいです。