
私がケアマネージャーとして関わっていたAさんは80代で独居の男性でした。その方は訪問介護を利用していました。訪問介護は利用者の生活介護(掃除・洗濯・食事のお世話など)と身体介護(清潔援助・排泄援助など)があり、Aさんは生活介護を受けていました。そのヘルパーさんはとても人気があり、お願いしたくてもいつも予定が埋まっていて予約もなかなか取れないような状況でした。ヘルパーさんはAさんが暮らしやすいように、自律を妨げないように、ちょうどいい頃合いの支援をしてくれました。例えば翌日が燃えるゴミの日であれば、ゴミをまとめて玄関に置いてくれます。そしてその側に靴を置くのですが、Aさんが履きやすい場所に履きやすい向きで靴を揃えておいてくれます。全てを代行するのではなく、Aさんが一人の時間にするであろう動きを考え、少し先の未来にそっと手を添えてくれる・・・そんな支援をしてくれるヘルパーさんでした。次に誰かが尋ねてくるまでAさんは一人で過ごします。その間に不自由がないように全てを整えておくことが良い支援とは限りません。Aさんの暮らしがより安全で安楽なものになるように、他の人が誰もいないその時間も含めて提供されているヘルパーさんの支援は素晴らしいと思いました。利用者さんだけでなくその生活も含めて支えるということは、安全だけでなく安楽や自尊感情に対しても配慮が行き届いた支援をすることなんだと、伝説のヘルパーさんから学ぶ事ができました。