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お父さんのSDGs

訪問看護ステーションととのえ

 




 先日は、会社で取り組んでいるSDGsの話をしましたが、今回は私の父を思い出しながら “お父さんのSDGs”を話そうと思います。私の父は8人兄弟の長男で、妹や弟の世話をしながら家の山仕事の手伝いをして、貧乏で大変だったと聞いていました。自分は小学校を卒業しただけで、働きながら兄弟達の高校まで卒業させて、最後は病気の両親の面倒をみて見送ってあげたそうです。貧しきなかで慎ましく暮らし、働き者だった父はとにかく物を大切にする人でした。

 私のバッグが壊れたり、服やパンツが破けると、新しいのを買ってもらえるのではと期待して父に伝えます。すると数日のうちに、バックは元通りになり、服や下着の穴は塞がり私の所に戻ってきます。少し残念な気持ちもありますが、修繕している父の隣にいるのが好きでしたし、お直しの済んだ品物にも愛着がじわじわと沸いてきました。

 小さな釘やネジなども決して捨てず、DIYの時にそれを出してきて使っていました。布団も自分の服も、直して直してずっと同じ物を着用している父の姿を思い出します。なんでも自分で作る人で、鳥小屋・物干しデッキ・梅干し・干し柿・・・物も料理も何でも作る父でした。

 一緒に散歩していると畑のあぜ道から、のびる・ヨモギ・うどなどを採取してきて調理して食卓に並べてくれました。なかなか繊維質な草餅も、よくおやつに作ってくれました。食材やおかずの残りも、リメイクして必ず食べきるようにしていました。

 思い出す父の姿は、物を大切にして最後の最後まで使う、そんな姿です。ささやかな晩酌を楽しみとし、物も家族も心から大切にしてくれる姿です。SDGsというのは、政府や企業の取り組みも大切ですが、もしかしたら一人ひとりが持つ優しさが大切なのかもしれません。

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